昨日の肌寒さのように今日も天気はだめだろうと思い込んでいた。
目覚めるとまるっきり違っていた。
なんて美しい日なんだろう!
海散歩に出た。
もう、柵ができていた。
柵の上に大きな平べったい積雲が浮かんでいた。
風が強い。
なんてクリアーな光景だろう!
真夏の湘南はコンスタントな南風を受けるが、もうその風と強さは同じだ。
この積雲がいつしか雄大積雲になったとき、それが夏だ。
何も食わずに飛び出したので腹が減った。
水族館の前のファミレスは海が見えるが新鮮味がない。
そうだ、ガジュマル童でタコライスを食おう。あそこは朝っぱらから店を開けている。
あの女主人は素朴すぎて面白い。少し話をしてみるか。
ラージを注文する。
既に彼女はタコを作りながら話を始めている。
古い鵠沼や片瀬のこと、江の島のこと。
彼女は僕の前にタコライスを運びながら、久し振りだからちょっとボリュームをサービスしたわ、という。
実際、分量は少々多かった。いくら食べても減らず、鋭いシーズニングスパイスはそのうち単調な責め苦と化した。
でもいい。朝っぱらからのタコライスなんて、なんともオシャレな非日常だ。