2018年 11月 29日
今回は母のショートステイが急に決まったものだからなかなか希望エリアでの宿が取れず、ようやく宿泊地を佐久に変えて、今夜の宿を取った。 その名も佐久ホテルという。 貧乏旅行だからもちろん素泊まりで、宿賃も、入湯税と消費税を合わせ5,816円。安上がりであると喜ぶ。 チェックインを済ませ、初めてヤッカイになります、よろしくと仁義を切ると、中居さんが親切に説明をしてくれた。 まずこの宿では、あまちゃ・天茶(甘茶ではなく)を召し上がって頂きたい、この天茶は当地特産の・・・と口上。 更にお好きであれば天茶に焼酎を入れると大層美味である、と。 この説明は僕にとり実に有益な情報であり、早速いただく。 うん、美味、すこぶる美味。 あんまり飲むと風呂で倒れるので、今はそこそこにし湯を尋ねると、当館の湯は湯船の真下1メートルに源泉があり、コンコンと湧き出る湯は豊富なメタケイ酸を大量に含み・・・と口上。 すげぇ、ということで早速入湯。 風呂の写真は撮らなかったが、うーん、大地から出てきたばっかりといった泥臭さ(気分よ)があり、そこらヘンの小洒落た温泉にはない一本気ないい湯である。 (そして後々、この湯の凄さがわかってくるのだ) 湯上がりに寝間着とドテラ姿でまたも件の囲炉裏に戻り、あまちゃでかっぽれの続きを行う。 改めて宿の様子を窺うと、かなり凝った造りである。 ここはホテルという名の旅館と考えてよいが、どちらかというと地場の名料亭として(佐久という土地柄)鯉料理が名物のようで、かなりハイソな面々が、しかし奥ゆかしく案内されながら行灯の灯る部屋に吸い込まれてゆく。 ふと目をやれば「当館の部屋名は実際に泊まった文人の名を使っている」との札が。 本当だ。 行灯をよく見れば、白秋さんとか、牧水さんとか、藤村さんとか華やかな名前の部屋が続く。 (更にそして後々、この宿泊者たちの凄さがわかってくるのだ) なんと、井泉水(せいせんすい)さんの間もある。 荻原井泉水。そう、尾崎放哉が師と仰いだあの井泉水である。 すげぇ、を心の中で連発しながら、偶然ではあるにしろ、またリーズナブルではあったにしろ、何という凄い宿を選んだことかと、かっぽれを踊りながらタマシイは佐久の夜空に欣喜雀躍したのであった。
凄さについての追記: 佐久ホテルHPより抜粋・・・ ●武田信玄も入湯し、謝礼に拝領した掛軸が残っています。中軸には長さ一尺、太さ一寸の円柱形水晶一本棒が使われ、覗けば旭が見えることから「旭湯」となったと伝えられています。(注:宿の名前とは別にこの源泉の名前が独立しており、旭湯と呼ばれる) ●若山牧水、島崎藤村、北原白秋、種田山頭火、小林一茶、葛飾北斎など文人墨客にも愛された温泉です。 ●白玉の歯にしみとおる秋の夜の酒は静かに飲むべかりける(大正11年10月14日 佐久ホテルにて 若山牧水)(注:あの、呑兵衛の聖句といわれるこの歌は、なんとこの宿に滞在中に詠まれたのであった!) ●そして何より凄かったのは・・・中居さんと思い込んでいた人が、現在の女将であったこと!
by libra-mikio
| 2018-11-29 19:55
| 旅
|
アバウト
カレンダー
ブログパーツ
カテゴリ
以前の記事
2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 検索
その他のジャンル
記事ランキング
画像一覧
|
ファン申請 |
||