母の具合にもよるが、今のところ、一泊二日ならぬ1泊1.5日くらいなら家を空けられる。
先の休日、母の許可を得て、ここしばらく行っていなかった小諸に風のように向かった。
柿が見たかった。
柿なんてどこにもあるが、やはり僕の心象風景として柿は小諸なのだ。
15年くらい前には北国街道に面したいくつもの商店の間に大きな柿の木があったものだが、或いはそういう記憶が濃厚なのだが、現在では路地に入り込まなければ見られない。
そして与良町の虚子記念館の裏に、こんな素敵な柿があった。
小諸の町には細い路地が網の目のように走っている。
おそらくは青道(あおみち、もとは水路だったものが暗渠の細い道になっている)だろう。
小諸は町全体が大きな傾斜の中にある。無数の水路が浅間に降る雨雪を千曲川に導く。
その青道に沿った虚子庵の板塀に、今日の夕日が暖光を注いでいた。
こちらも何回かアップした懐かしい建物だ。
昭和の初めにできたミルクホールで銀座会館といったらしい。
終戦後は米兵も来ていたようだが1950年頃に店を閉めたとのこと。
しかし、そんな建物が未だに残っているというのはすごいことではないか。
おまけに可愛いいたずら心までまとっている。
この愛すべき建物が健在であることを確認できただけでも、風になって飛んできた甲斐があったと思う。