Mickey's world

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2018年 10月 25日

古い本の旅路、或いは彷徨

週何日か在宅勤務をさせてもらっていることは既に書いた。

家にいるとおつかいに行かされる。はじめてのおつかいならぬ、この歳でのおつかい。

母はなぜかぶどうパンが好きで、飽きもせず毎日の朝食はレーズンバターロール2個。切れないように、おつかい。

きっと前世は、せっかく姿を隠してくれたぶどうの葉をむしゃむしゃ食べて狩人に狩られたシカだったのかもしれない。

ずっと前、奈良出身の男が一杯引っ掛けて歓談かまびすしい折、ふと、僕のお父さんはシカだったんですよ、と言ったことがあった。

もしかすると僕の母も実はシカなのかもしれない。


閑話休題、そういうおつかいのとき、古本屋があるとつい足を停めてしまう。店先の100円ワゴンに目を走らす。

題名と、傷みの程度と、インスピレーションで数冊求める。

今回は見知らぬ槇野あさ子さんという方の「避暑地の野花」と、カメラマン石川文洋さんの「写真は心で撮ろう」。


家に帰り、まず「避暑地の野花」を開いてびっくり。

とある方に宛てた、著者直筆の贈呈文が書かれているではないか。

○○美智子様 花を愛し旅を友として いつまでも幸に 軽井沢離山房にて 槇野あさ子 9,7,23

どうしてこんなに心のこもった大切な本が、我が街の寂れた古本屋の店頭ワゴンに並んでいるのか。

もしかして○○美智子さんは亡くなって、遺族が蔵書を処分したのか。

それとも美智子さんは著者と気まずいことになり、なげやりに本を手放したのか。

いずれにしても、この本の持つ数奇な旅路に想いを馳せざるを得ない。

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(ところであとで知ったが、軽井沢離山房(りざんぼう)とは、かつて暗殺直前の時期のジョン・レノンが、ヨーコ・オノとショーンくんを伴い来日した際必ず訪れるカフェであったそうな)





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こちらはカメラマン石川文洋さんの本だが、こちらも家でぱらぱらページを繰ると、MARUZENお茶の水店の領収書が、このページに挟まっていた。

9910241634の打刻があり、消費税は5%。

この本をワゴンで見つけたのはまさしく今週の水曜日、つまり1024日。

ちょうど19年前にどこかの方がこの本を買い、いつ、なぜ手放したかは判らぬが、その本を僕がワゴンに見出した訳だ。

古本は、思いもよらぬ旅路を重ね、あちこちを彷徨しているのだろう。



by libra-mikio | 2018-10-25 21:30 | 陰翳 | Comments(0)


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