晩年の親父が、 「谷峨の桜はいいぜ」 と言ったことがある。
谷峨(やが)とはJR御殿場線の一駅で、 御殿場線自体、 当初は東海道本線であったにもかかわらず、 丹那トンネル開通後は支線となり、 且つ太平洋戦争末期には鉄の供出令により複線が単線になってしまったという繊細な過去を持つ。
何故親父が谷峨を知り、 気に入ったのかその理由は知らない。
桜の季節になり、 親父の言葉がよみがえり、 この目で見たくなった。
晴天ではなかったことが、 ボクの疑似ノスタルジーを助長した。
おそらく往時よりは剪定などを経て小さくなってしまったのだろうが、 なるほど。
親父、 この目でしかと見たぜ。
M-1 + G.ZUIKO50mm F1.4 + 400PREST