カテゴリ:放哉( 18 )


2016年 12月 21日

放哉 Dec. 21, 2016

舟 か ら 唄 っ て あ が っ て く る    放哉
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江の島の入り口ともいえる桟橋の途中から岩屋まで、弁天丸という観光船が走っている。
片道は確か400円ほどであり、観光地としてはリーズナブルな価格である。

弁天丸は、第〇〇弁天丸、としていくつかの船が同時に海上にいる。
その船頭はみな地元の漁師である。
お幾つくらいか。
海の男は赤銅色になり、かつ深いしわが刻まれるので、なんとも言えないがおそらく70歳前後であろう。

夕陽を浴びて、第〇〇弁天丸が桟橋のスタート地点に帰って来る。
もう客は数えるほどしかいない。
今日は冬にしてはうららかな日であり、波もない。

桟橋で舫うために待機している70歳に、舵棒を股に挟んで操船してきた70歳が声を掛ける。
・・・・・
今日もいい一日だったな。
そうだな。
一杯飲るか。
そうだな。
・・・・・
海の上と陸で、阿吽の会話が、心の中で交わされる。

そして船頭は、ごく自然に鼻歌を歌う。
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X-T1

by libra-mikio | 2016-12-21 23:11 | 放哉 | Comments(0)
2016年 12月 13日

放哉 Dec. 13, 2016

風 が 落 ち た ま ま の 駅 で あ る 田 ん ぼ の 中   放哉

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いささか季節が逆戻りするが、ベッドで放哉の句集を読んでいるうちに、この写真をつけたくなった。

小海線の、それはそれは小さな駅である。

まさに風は落ち、おまけに空は泣き出したが、雨の匂い、稲の匂い、そしてディーゼルエンジンの匂いが良い案配に混じりあい、旅の中の僕を癒してくれた。


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X-T1

by libra-mikio | 2016-12-13 23:10 | 放哉 | Comments(0)
2016年 12月 12日

放哉 Dec. 12, 2016

た そ が れ の 浪 打 ち ぎ は を は る か に 来 け り   放哉

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休みの日の夕間暮れ。
渚を人々は散策する。
おそらく誰もが、目的を持っていない。
それがいい。

風は冷たいが目に映るものは美しいものばかりだ。
美はエナジーである。

だから人々は ”浪打ちぎは” をどこまでも歩いていく。
そして人々は渚の夕べに溶けていく。


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X-T1

by libra-mikio | 2016-12-12 22:04 | 放哉 | Comments(0)
2016年 08月 13日

放哉 Aug. 13, 2016


海 の あ け く れ の な ん に も な い 部 屋   放哉

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海の家は、当たり前だが、海にある。

海の家ほど、海の明け暮れと一体化したものはない。

そして、たとえ湘南であっても早朝には人影もまばらで、良い意味でのempty感がある。

あと数時間すれば都会からやって来る老若男女の解放された笑い声に満たされる。

それを待って佇むempty room.

その空間自体がワクワクしているような・・・。これってTAOかな?

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X30

by libra-mikio | 2016-08-13 13:37 | 放哉 | Comments(0)
2016年 03月 08日

放哉 Mar 08, 2016



な ぎ さ ふ り か へ る 我 が 足 跡 も 無 く   放哉

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春めいてきた。海も凛々しさからたおやかさに変わりつつある。

汀をたどれば、オーケアノスからのギフトが打ち上げられている。

構図に悩んでいるうち、周りは僕の足跡で満たされた。

波が来て飛びのいた。

振り返れば、まるで僕が居なかったかのように、まっさらの汀だ。

X-T1 + G. ZUIKO 50mm F1.4

by libra-mikio | 2016-03-08 22:12 | 放哉 | Comments(0)
2016年 03月 07日

放哉 Mar 07, 2016



た つ た 一 人 に な り 切 つ て 夕 空   放哉

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先程までこの辺りにいた数組の二人連れは、寒さに追いやられ、気付けば僕の周りから消えていた。

濃紺に闇が混じり始めた海面は、ちりめんを幽かに残しながら、小さな子供がぞんざいに平らにした粘土のように見えた。

遠くに大島のシルエットが浮かんでいる。

大島よ、お前も一人か、と問うたが、よく見ればさらに遠方の利島が右隣に小さく浮かんでいた。

なんだ、一人きりなのは僕だけか、と一人ごちた。

EOS 40D + EF-S17-55mm f/2.8 IS USM

by libra-mikio | 2016-03-07 22:42 | 放哉 | Comments(0)
2016年 03月 03日

放哉 Mar 04、2016

た だ 風 ば か り 吹 く 日 の 雑 念   放哉

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大風が吹いて砂が飛んで。
そんな時には雑念なんか浮かばない、と思うのだが、実は違う。

思 わ ぬ と 思 う も も の を 思 う な り  思 わ じ と だ に 思 わ じ や き み
from 不動智神妙録 by 沢庵。

そういうものなのである。

by libra-mikio | 2016-03-03 22:48 | 放哉 | Comments(0)
2016年 02月 18日

放哉 Feb 18、2016


山 は 海 の 夕 陽 を う け て か く す と こ ろ 無 し   放哉

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駿河湾から見る富士は、この句のように隠すところがない。
木花開耶姫の裳裾まで露になる。

あまりきれいな写真ではない。
しかしこの時、西伊豆の黄金崎界隈で見た富士は、まさにこの通りの色だった。

姫が白粉を塗り終わっていたら、もう少し見栄えが良くなっていたのかもしれない。

X-TI + XF 55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS

by libra-mikio | 2016-02-18 22:26 | 放哉 | Comments(0)
2016年 02月 17日

放哉 Feb 17、2016


流 る る 風 に 押 さ れ 行 き 海 に 出 る   放哉

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海辺に住んでいると、こういうことって確かにある。

ふと、風に押されて海に出てしまう。

行きついた海がきれいな時もあれば、そうでない時もある。

・・・

この日はきれいだった。

羽化したばかりの小蝶のような、春まだ浅き海。

EOS 5D + EF24-105mm f/4L IS USM

by libra-mikio | 2016-02-17 22:47 | 放哉 | Comments(0)
2016年 02月 07日

放哉 Feb 07, 2016


霜 と け 鳥 光 る   放哉

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ちょっと違うかな?
光ってるんだけどね。

小瀧さんのシュール・カモメ路線を狙ってみました。

カモメって、こっち見るのね。
好奇心旺盛なのね。
初めて知ったぁ。

X-T1 + XF35mm F2R WR

by libra-mikio | 2016-02-07 19:38 | 放哉 | Comments(0)