Mickey's world

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カテゴリ:旅( 32 )


2017年 09月 19日

クロネコ

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今回の人文の旅では、どうしても行きたいところがあった。
信州は伊那にある、クロネコという得体の知れない食堂である。
今夜の宿は佐久海ノ口なのに、先ずは伊那に向かう。

これまで何度もここに入ろうとしたが、到着する時間帯がいつも微妙で、いつもCLOSEDだった。
一方で常に好敵手の地位にある「とよばらのローメン」は時間帯がルーズで、結局そちらに行き、それはそれで非常に満足していた。
今回は昼飯の時間帯に合わせて、つまりクロネコさんの営業時間帯に合わせて周到に作戦を練り(笑)、ようやく本懐を遂げた。

まずはこの外観をご覧あれ。
消防法に引っ掛かって解体を余儀なくされた旧松高・思誠寮よりも明らかに古い。既に傾いている。直線が直線ではない。ダリかムンクだ。




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中では、おじいちゃんとおばあちゃんが切り盛りしていたが、娘さんとお見受けするおばちゃんもいらっしゃった。
そして見よ、このお品書きの豊富さ!
もっとも基本はソバとうどんで、要するにトッピングのバラエティということか。
食堂内は至る所黒光りし、得も言われぬ香り、つまり石油ストーブをつけた時と消した時の、あのノスタルジックな臭いが染みついている。
あ、この時期はもちろんストーブなんてつけてはいませんよ。でも「あの」匂いが染みついているのだ。




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いつかの写真雑誌で読んだことがありここに来たのだが、その時のカメラマンはここで食うソースカツどんを愛でていた。
しからば我もと、ソースカツどんを注文する。
・・・出てこない。なかなか出てこない。時間はたっぷりあるので心ザラツクことなく余裕をかまし信濃毎日新聞を読む。
ロケットマンがロケットを飛ばした日だった。
待つこと40分ないし50分。
来た!
空腹は最高の調味料というが、最高の調味料を以てしてもいささか「う~~ん」。
でもね、おじいちゃんとおばあちゃんが一生懸命作ってくれているのは良く判るので、もちろんきれいさっぱり平らげた。
900円の値は、食材費と、製造労務費と、勤労感謝費(これが大)に因数分解して、心に収めた。




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ありがとう、クロネコさん。
思いを遂げたので、次に伊那に来た時にはためらうことなくローメンの店に行きます。


by libra-mikio | 2017-09-19 22:06 | | Comments(2)
2017年 09月 17日

村境 そして

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今朝、信州の南相木村から北相木村へとつながる道を、初めて走っていた。
雨の中、道端にブロンズ像があった。
案内板を読むと、「不戦の像」ということが判った。
一体なんだろう・・・

以下、案内板から抜粋。
----------------------------
ここ村境の「別れの松」は、過ぎし戦いの日、大命を受けた若者たちが、一言の抗弁も許されずに、村民総出の歓呼の声に送られて、愛する人々と、最期の言葉を交した、まさに戦争の悲劇が凝縮した場所であります。
・・・
見送る母親の表情には、当時軍国の妻、軍国の母の名のもとに、万斛(ばんこく)の思いを秘めて、透徹した諦感の相を感じます。母親の手にすがる男の子は、「お父さん早く帰って」と必死に叫んでおります。そして、母親の背中に無心に眠る幼子は、二度と父親の顔を見ることは出来ません。
・・・
遺された家族のたどった戦後の苦難の歴史を想う時、この悲劇は断じて繰り返してはなりません。
・・・
往時を回顧し、村民相はかって戦没者に対する鎮魂と、平和への悲願をこめて、ここに「不戦の像」を建立いたしました。
・・・
南相木村
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不戦の像から道沿いに北に目を向けると、そこには確かに「村境」のプレートがあった。
だしぬけに涙した。


by libra-mikio | 2017-09-17 20:48 | | Comments(0)
2017年 09月 06日

地蔵峠、探索終了

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拙ブログ、地蔵峠のこと(2015/08/30)に書いたように、上田から松本に抜けるR143の地蔵峠がどうにも気になっていた。
実は去年の今頃、探しに行ったのだ。
R143のこの辺りには、写真の明通(あけどおし)トンネルと、もう一つ会吉(あいよし)トンネルがあり、双方とも1890年、つまり明治23年に開通したという。
このどちらかが旧地蔵峠なのだが、そして集合知では会吉トンネルが地蔵峠であることを告げるのだが、どうしても決め手がない。
ここが地蔵峠ですよ、というモニュメントがない。
結局、去年は発見に至らなかった。
*会吉トンネルの方は後で知ったが、有名な心霊スポットだそうで非常にヤバいことをした訳だが、その時は何も知らなかった。世の中、そんなもんだ。もちろんオバケには合わなかった。




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この夏、上田・小諸を旅した帰り、ふと思い返して再度、地蔵峠発見チャレンジを行った。
するとどうだ、明通トンネルを出て一服しながら何気なく上方を見るとお地蔵さんと目が合ったのだ。
やや、お地蔵さん、ここにいなさったか!ということで、僕の中ではR143の旧地蔵峠は明通トンネルの上だった、ということに落ち着いた。




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違うよ、間違っているよ、という人がいてもワタシは頓着しない。
ここが地蔵峠である、との結論を下した。
喉の小骨がようやく取れた。


by libra-mikio | 2017-09-06 23:16 | | Comments(2)
2017年 08月 24日

塩名田

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大好きな場所だ。
もう何回も拙ブログにアップしたと思うが、今年も訪れた。
中山道、塩名田宿。

不思議なものだ。
晩年の親父が案外と旧い宿場が好きで、和田宿や海野宿、馬籠宿などによく通っていたが、息子もそうなりつつある。

塩名田の、千曲川に掛る中津橋の袂、川魚屋。
構図を取っていたら、微妙なお姐さんが歩いて来て、この「のむら」さんに入っていった。
影の短さが、真夏の暑熱を留める。




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浅科から見る浅間。・・・うん、雲の中の浅間。
ここから見る浅間はいい。実にいい。
たとえ雲の中でも、僕には優美な浅間の曲線が見えている。


by libra-mikio | 2017-08-24 22:38 | | Comments(0)
2017年 08月 17日

別所 北向観音

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別所温泉には夕方着き、大湯とあいそめの湯に連続して入った。どちらも硫黄の薫り高く申し分ない。
出ると太鼓の音が聞こえてきた。北向観音で盆踊りが始まろうとしていた。
短い参道には本物の蝋燭が灯る雪洞が等間隔でいくつも並べられ、すべての胴に近在の子供たちが描いたであろう絵があり、心なし哀切感が漂う。
観音堂はさすがに重厚でありながらも、すぐ脇の広場の太鼓の音、つまり庶民の民芸の極致とも融和していた。


話は変わるが、ここ何年も不満に思っていたこと、即ち仏教は宗教ではなく哲学であるのになぜ宗教として扱われるのか、についてごく最近、おぼろげに答えが見えてきている。
鈴木大拙の「禅(仏教の生命と精神の項)(ちくま文庫)」を読み返し、一方で武者小路実篤の「釈迦(岩波文庫)」を一気読みしたことで、仏教がいかにして宗教になったのか、その解決の糸口を掴みかけている。
極々大づかみにそのキモを表現すれば、仏陀ゴータマ・シッダールタが存命の時にはその教えは宗教ではなく、仏陀の死後2千年経つうちにそれは宗教へと変わってきたのだ。
この辺りは今後楽しみに整理したい。


先程まで濃い藍色が残っていた空もいつしかとっぷりと暮れた。
浴衣のお嬢さんが現れた。おそらくは地元の人達だろう。
北向観音は、本当に地域に溶け込んでいると感じた。
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by libra-mikio | 2017-08-17 16:31 | | Comments(0)
2017年 06月 04日

河岸段丘

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河岸段丘のてっぺんから大らかな景色を眺めてみたいと思い立ち、駒ヶ根に行った。
日差しは朝から強いが、気温は15度を下回り、湿度も低く、纏いつく風が夢のように軽く感じられた。

農家に土曜休みがあるとは思えないが、機械は止まっており畑で働く人の姿はなかった。
聴こえるものは耳をかすめる風の音と、遠くでなくアカハラやウグイスの声だけだった。




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こんな高所にも田んぼがある。
苗が行儀よく並び、張られた水は真っ青な空を映していた。
夜になれば蛙たちの大合唱がきっと物凄いことだろう。

真夏にもう一度ここを訪れたいと思った。
稲の実る匂いが暑い風に乗って僕の鼻腔を通り抜けるだろう。
南アルプスの重畳たる山塊の上には素敵な入道雲がもくもくしているだろう。
そんな真夏の光景が既に目に浮かぶのだった。




空が広い。
大地の斜面が広い。
とにかくすべてが広い。明るい。

面白いものだ。
河岸段丘の下は谷で、そこに立てば狭隘である
同じ地形でありながら、自分を置く位置を変えれば、一転して狭隘が広大に変わる。
人生の局面にも同じことが言えるかもしれない。
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by libra-mikio | 2017-06-04 13:04 | | Comments(0)
2017年 05月 08日

尾道そして美少女

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千光寺公園のてっぺんに登ったら、片積雲が夕方の太陽を隠した。
雲が光を裂き、思わずシャッターを切ったが、僕は画面左下の尾道水道を撮りたかった。




何故尾道水道なのか。
それはこの、加納満さんの写真にノックアウトされたからだ。
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2008年 枻出版、CAMERA magazine no.6の表紙。
表紙だけではなく、掲載された数葉の尾道のモノクロ写真は何と魅力的であることか。
もう、行く、断然行く、と決めてから早10年。
ようやく時期が来た。

地図とストリートビューで、概ねどこのポイントから撮影されたのかは把握できたが、結局今回は時間の関係でそこには行けなかった。
クタビレタから、という説もあるが。
で、似たようなアングルで千光寺公園から撮ってはみた。
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あれぇ、ちょっと違うな?
でもいいんだ。また行くし。




さて突然ですが、ここで一人の美少女が登場する。
もちろん彼女に迷惑が掛からないように現像している。
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まぁ、なんというか、僕はモテるのですよ(笑)
言い換えれば人畜無害ともいうが、なんたって、ほかにも観光客が何人もいる中で彼女から僕に声を掛けてきて・・・
と、詳述してもバカらしいのでやめるが、周りにいたおっさん連中は実に不平そうな顔をしていたのは事実(笑)

なぜ尾道で東欧系なのか。
なぜ東欧系なのに言葉が西日本系なのか?
・・・んなことはどうでも良くって、僕は周りの観光客の怨嗟の的となり、呪いが濃ければ濃いほど天にも昇る気分であった。
これ、事実ですよ(笑)




でもさ、尾道水道って、いいよ。
少しだけ真面目な写真をアップしておこう。
人と、街と、水が、知という衣を纏っている。それが尾道。
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by libra-mikio | 2017-05-08 23:00 | | Comments(0)
2017年 05月 07日

尾道の想い出

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尾道。
どれほど行きたかったことか。




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古い商店街を風となって歩けば、自転車の乙女たちがツバメの様に滑走してくる。
飛ぶツバメが鳴き声を発しないのと同じく、乙女たちの声は耳には届かない。
しかし心を澄ます必要もなく、若さが限りなく心に聞こえてくる。
旅人の、尾道という地名に対する感傷を見事に否定しながら、乙女たちは駆け抜ける。




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見知らぬ店を選ぶ嗅覚に自信はなかったが、これは、と入った店は案に違わず安心し、落ち着くことが出来た。
老夫婦が営む店には、よく見かけるタレントとの写真が飾られている。
杯が進めば、問わず語りに会話が始まる。
聞けばご子息は公務員で、ご夫妻はそれを誇りにしている。
短い時間であったが、旅の者としての礼節を弁え、今夜の安宿に向かう。


by libra-mikio | 2017-05-07 22:39 | | Comments(0)
2017年 04月 15日

旅情、谷峨

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旅情というものは遠くに行かなくては味わえないかというと、そうでもない。

御殿場線の谷峨(やが)という駅。
今は亡き親父が、この駅をずいぶんと気に入っていた。
既に何回か僕のブログにも登場しているが、桜の季節になると、どうしてもここに来たくなる。

ありきたりなローカル線の駅だが、親父が好きだったということが、僕に対し特別な意味を持たせる。

人生の岐路や艱難に対峙したとき、僕は決まって親父の墓に出向く。
墓石に向かい相談を持ち掛ける。
そうした文脈とは多少異なるが、僕は桜の季節には谷峨を訪れて、親父に「今年も谷峨はきれいですよ」と報告する。

そういうことが有っていい。
そういう場所が在っていい。

常の墓でなく、いつもとは違う場所で親父と逢う。
その行程は既に心の旅であり、こんな雨上がりのプラットフォームを見て心に起きる感慨は、既に旅情といってよい。
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EOS 5D + 純愛レンズ


by libra-mikio | 2017-04-15 22:17 | | Comments(0)
2016年 11月 12日

稲村

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こんなことを良く想う。

尾道に行きたいなぁ・・・、尾道に行って、加納満さんのような写真を撮りたいなぁ・・・
小豆島に行きたいなぁ・・・、小豆島の西光寺あたりを歩いて尾崎放哉の気分を感得したいなぁ・・・

・・・でも、なかなか行くことが出来ない。
一方、僕は湘南にいる。

尾道の人の中には、或いは小豆島の人の中には、湘南にいきたいなぁ・・・と思っていらっしゃる方もきっといるだろう。
そうであれば、僕は先ずは地元をもっと愛さなければいけないな。

湘南には良い景色がたくさんある。
だから湘南を再発見しよう。

稲村ケ崎の、きっと多くの日本人が知っている光景にも、僕は好きな時に、すぐに、逢いに行くことが出来る。

贅沢なことだと思う。
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X-T1

by libra-mikio | 2016-11-12 21:06 | | Comments(0)