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2017年 09月 03日

始まりの秋

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夏は往きつつある。
これから先、もちろん気温の高い日がやって来るだろうが、今年の夏は確実に往きつつある。

串田孫一が、「毎年秋の入り口に天馬ペガススの四辺形を見ずに秋を迎えることはない」と書いたのと同様、僕はこのツリガネニンジンの可憐を見ずに秋を迎えることはない。
高原の冷涼は、既に8月のうちに彼女を大人の女性にしていた。
双眼鏡でとっくりと彼女のいでたちを確認した僕は、毎年の、秋を迎える儀式が執り行われたことに深い安堵を覚えた。




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マツムシソウの花を淑女のボンネットに見立てて、その群生を彼女たちがロンドを踊っている、と表現したのも串田さんだ。
その一文を読んだ19歳の僕は、その初秋に初めて美ヶ原でマツムシソウに出逢った。

何だろう、なんで彼女はこんなにも優美なのだろう。
本当にそう思った。
ただ、そのネーミングには合点がいかなかったし、今も不思議に感じている。

可愛い、だけではない。容姿が面白い、だけではない。彼女の魅力はどこにあるのか、これは突き詰めるべき課題かもしれないが、おそらく野暮であろう。
ただ一つ言えることは、気品、かもしれない。




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アサギマダラがノアザミの蜜を吸う。
二人の関係は互いに相手の得になる、Win-Winである。
自然界では、学校で教わらなくても、互いが互いのためになることを行う。
意地悪をするものはいない。
意地悪をする意味がないからだろう。
アサギマダラの脳の何万倍もの質量を持つ人類の脳は、余計なことばかり考えている。


by libra-mikio | 2017-09-03 21:56 | 高原


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