初夏の紫が好きだ。
初夏の紫に惹かれる。
トチノキ。
お洒落に仏語で言えばマロニエ。
すっくと中天を目指し、花穂も上昇志向を持つ。
潔さを感じる。
願わくば、僕の心にもマロニエを植え、大事に育てたい。
キリ。
内閣の家紋だそうである。内閣に家紋? どうでもいいが、確かにプロンプターの演壇には桐の紋章がいつも現れる。
そんなことはどうでもいい。
桐は、霧と合うそうである。
箱根で偶然に言葉を交わした古老が、そう断言していた。
フジ。
山間の道路を走っていると、あちこちにフジが見え隠れする。
藤棚のフジもいいが、野生の趣を横溢させるフジに親近感を覚える。
きっと誰かが見てくれている、と。
トウゴクミツバツツジ。
好きだなぁ。本当に好きだ。
この色はおそらく人工では真似が出来ないのではないか。
毎年この時期に逢いたくなる。
たまに忙しくて逢いに行けない時もある。
でもね、今年は遭えた。
木花開耶姫も、トウゴクミツバツツジをご寵愛なさっているらしい。
X-T1