今日は焼けそうだなと思って、さっき浜に出た。
少し波に浸かりながら腰を落として夕陽に向かったとき、小さな女の子がレンズの前に駆け込んできた。
おいおい、オジサンの邪魔をしないでくれよ、と思うが、どくどころか波を相手に打ち興じはじめた。
そうか、君は遊びたいのだね、と思いこの子を撮ろうと方針を変更した。
近所に親が居ればアイコンタクトで了解を得るのだが、不思議なことに親がいる雰囲気がまるでない。
そうしたらどうだ。
お嬢さんは急に立ち上がり、僕の脇をかすめて走り去った。
まるで町中を飛ぶツバメのように、僕の脇をかすめて走り去った。
そして本当に消えてしまった。
もしかすると、海の座敷童だったのかもしれない。
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