夢枕獏と串田孫一。互いに無関係だと思うのは全く致し方のないことである。
ところがどっこい、実に興味深いことがあるのだ。
今年の初夏のころの新聞書評欄に、なんと夢枕先生の素敵な一文が掲載された。
長くなるが引用する。
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20代のころ、串田孫一の本を本屋で見つけては、それを喫茶店で読むというのが好きだったのだ。「山」という詩集もそのようにして読み、愛読書となった。
初めての告白になるが、串田孫一のようになりたいと思っていた時期もあったのである。「枯草の尾根」という詩がある。その数節---
ゆっくりと休もう
疲れていなくとも
こうして少しは休むものだ
また「五月の山なみ」の数節---
このおだやかな
遥かにつらなる起伏は
私にとって愛撫のような祝福だ
私はもう
何処へ行くのでなくともよいと思う
ああ、いいなあ、串田孫一は。三十数年ぶりに読み返して、またしみじみとしてしまったではないか。
unquote
ドーデスカ。串田ファンの心境そのものを、夢枕先生が代弁しているといっても過言ではありませんでしょ!
僕は感涙にむせぶのでアリマス。